MENU
駅やエリアで検索

弁護士に依頼をすると

目次

1.初めに

弁護士
弁護士

突然ですが、皆さんは弁護士に実際に会ったことがありますか。2024年現在、弁護士の数は45,000人ほどで、この20年間で2倍以上に増えています。少しずつ弁護士の存在も身近になってきたかとは思いますが、体調を崩したときにお医者さんにかかるのとは違って、日々の困りごとの相談に弁護士を、という人は中々いないかと思います。そこで、今回は弁護士に依頼をする場合、どういう流れで、どんなことをするの、という大まかな概要をお伝えしようかと思います。

2.相談~依頼まで

通常、弁護士に依頼する前に、まずはお困りごとの内容を伺い、その後の道筋をつけるため、相談=法律相談をしていただくことになります。ここでお話を伺うことで、そもそも弁護士が入るのが適切なのか(例えば法律で決着をつけることができる問題なのかどうか)ということや、どういう形で進めていくのが適切か、そして、そのために弁護士の費用がどれくらいかかるのか、というようなことを判断していくということになります。

弁護士に依頼して事件を解決するということは、どうしてもお金と時間がかかります。この法律相談でできるだけ詳しく状況を説明し、望むような解決が得られる可能性がどれくらいか、そのためにかかる時間や費用、手間はどのようなものかというような事件の見通しについて、しっかりと聞き、判断することが重要です。

相談自体は大体1時間くらいの対面方式が多いですが、最近はWEB会議アプリなどを利用してリモートで面談を行う場合も増えてきています。行政などが市民向けに相談を実施している場合などもありますし、直接アポイントを取っていただき、事務所で行ったりもします。費用もまちまちで、無料の相談もありますし、数千円から相談内容次第では数万円かかる場合もあります。値段、得意分野の有無、話の聞き方などの相性など、様々な要素がありますので、しっかり吟味してください。

この法律相談を通じて、弁護士が引き受けた方が良いだろうとなった場合、依頼をしていただくことになります。

3.依頼(選任契約)

弁護士の業務は様々ですが、事件の依頼をする場合には、その弁護士に解決のため、自身の代理として動いてもらうことを依頼することになります。そのための契約が選任契約です。どの範囲まで依頼ができるのか(相手方との直接の交渉だけか、その後の訴訟も含むのか等)、費用がどれくらいで、どのタイミングでどのように支払うのか等、契約の条件をしっかりと確認しましょう。

4.交渉

相手から訴訟や調停を起こされている、というような場合でない限り、多くの場合は、弁護士に依頼をしたからといって、いきなり裁判所に訴える、ということはありません。まずは相手方やその代理人となっている弁護士との間で直接のやり取りを行います。交渉、あるいは、任意交渉と呼ばれる段階です。例えば、債務が明らかなのに直接のやり取りではなんだかんだ理由を付けて支払いを渋る、というような場合などでは、弁護士から書面が一通届いたというだけで解決するようなことも希ではあるものの存在します。

この間に皆様がすることは、より詳細に事件についてお聞きするための打ち合わせや電話連絡、相手方に請求したり提案したりする文書に誤りがないか等のチェック、相手から提案がされた場合にそれを受け入れるかどうかの判断の連絡などになります。度々連絡をすることになりますので、連絡手段や連絡しやすい時間帯なども弁護士と話しておきましょう。期間は相手にもよるために本当に様々で、年単位になる場合もあります。長引き過ぎないよう、どうなったら次の手段に行くのか、ということも事前に弁護士と確認しておくと良いかと思います。

5.裁判

交渉で合意に至らない場合や、そもそも相手が交渉に応じてこないような場合には、裁判所を利用した手続きに移っていくことになります(交通事故など、事例によっては裁判所以外の機関が中立的な立場で介入してくれるADR(紛争解決手続き)が使えるような場合もあります)。裁判所を利用した手続きであっても、調停のような当事者同士の話し合いによる解決を裁判所が支援するようなものもありますし、皆さんがよく想像するような、どっちが勝ち、どっちが負けということを裁判所が判断するいわゆる裁判=訴訟もあります。この辺りは、交渉段階でどの程度やり取りができていたのかということや、相手との関係性なども考慮して、よりマイルドな解決を望むのか、白黒はっきりつける必要があるのかというあたりも考慮して選んでいくことになります。

裁判になると、一か月~二か月程度に1回開かれる裁判期日に合わせて事件が進行していくことになります。大体は交互に主張を出していくことになりますので、皆様としては期日の報告を確認しながら、裁判に出す書類の事前チェックや相手からの書類に対する事実確認のための打ち合わせなどを行っていただくということになります。裁判になると最低でも半年程度、長いと1年以上かかることもあります。

6.解決(履行の確保)

交渉が成立した場合や、訴訟が終了した場合、事件は解決となります。ただし、その場でお互いにするべきこと、例えば相手へのお金の支払いなどが終わっている場合であればともかく、分割払いの約束をしている場合や、何日後に建物から退去する、というような場合など、実際に解決されたことが実行されるかということが問題になる場合があります。その場合には約束や判決の履行を確保するためにさらに手続きが必要になる場合があります。例えば、お金の支払いがない場合に裁判所に強制執行を申し立て、預金を差し押さえるというような手続きです。

気を付けていただきたいのは、通常、弁護士の成功報酬の支払い時期(事件終了)は、訴訟の終了などで事件が解決した時で、その後の履行確保は別手続となっていることが多いことです。その場合、履行確保の手続きで弁護士を利用する際は、別途弁護士費用も掛かるということになります(最初から強制執行を想定して契約をした場合は別です)。強制執行では裁判所に払う費用も多額になる場合もあり、実際にちゃんと望んだ結末まで行くことができるのかという点も含めて、依頼の時点から見通しをもっておくことが必要になります。事前にしっかりと弁護士に確認しておきましょう。

目次