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弁護士が教える離婚調停

離婚調停は、夫婦が離婚に至る前に、互いの意見を整理し、可能な限り円満に離婚を成立させるために行われる法的手続きの一つです。この手続きは、裁判所の調停委員が間に入って、双方の話し合いをサポートします。以下では、離婚調停の目的、手続きの流れ、そして成功させるためのポイントについて、弁護士の視点から詳しく説明します。

弁護士が教える離婚調停~1. 離婚調停とは

1.1 離婚調停の意義

離婚調停は、正式な離婚訴訟に至る前の段階で、夫婦が離婚条件について合意を得るための調停手続きです。これは、家庭裁判所で行われる非公開の手続きで、第三者である調停委員が仲裁役を務めます。

離婚調停の目的は、裁判所が関与することで、感情的な対立を避け、話し合いによる解決を促すことにあります。調停委員は、中立的な立場で両者の意見を聞き、法的なアドバイスを提供しつつ、合意に達するようサポートします。

1.2 裁判外での解決を促す

離婚調停について日本の法律では、離婚を求める場合、まず調停を経てからでなければ裁判を起こすことができません(「調停前置主義」)。そのため、離婚調停は離婚手続きにおいて非常に重要な役割を果たします。

弁護士が教える離婚調停~2. 離婚調停の流れ

2.1 調停の申立て

離婚調停を始めるには、まず家庭裁判所に申立てを行う必要があります。この申立ては、どちらか一方の配偶者が行うことができます。申立てに際しては、以下の書類が必要です。

  • 離婚調停申立書
  • 戸籍謄本
  • 収入証明書(場合によっては必要)

申立てが受理されると、調停の日程が裁判所から通知されます。

2.2 調停委員会による調整

離婚調停の進行は、調停委員会が担当します。調停委員会は、調停委員(法律の専門家や心理学の専門家など)と裁判官で構成されます。調停委員は、中立的な立場から両者の話し合いをサポートし、合意に向けて話を進めます。

離婚調停は、通常、双方が別々の部屋で行われます。調停委員が一方の部屋に入り、その後、もう一方の部屋に移動して意見を聞くという形で進行します。これにより、直接的な対立を避け、冷静に話し合いができる環境を提供します。

2.3 調停の内容

離婚調停では、主に以下のような内容が話し合われます。

  • 離婚の合意: 離婚するかどうかの合意。
  • 財産分与: 夫婦が共有する財産の分割方法。
  • 慰謝料: 不倫などが原因であれば、慰謝料の金額。
  • 子供の親権: 未成年の子供がいる場合、どちらが親権を持つか。
  • 養育費: 子供の養育費の額や支払い方法。

調停委員はこれらの内容について、双方の希望を聞き取り、妥当な解決策を提案します。

2.4 合意と調停の成立

両者が調停で合意に達した場合、その内容は「調停調書」として記録されます。この調書は法的効力を持ち、双方が遵守しなければならない義務が生じます。

調停が成立すると、通常の離婚手続きと同様に、離婚届を役所に提出し、離婚が成立します。

弁護士が教える離婚調停~3. 離婚調停が不成立の場合

3.1 調停不成立の意味

調停が成立しなかった場合、すなわち双方が合意に至らなかった場合は、「調停不成立」となります。この場合、申立人は裁判による離婚を求めることができます。

裁判になると、調停とは異なり、裁判所が最終的な判断を下します。裁判では、証拠の提出や証人の尋問が行われ、最終的には裁判官が判決を下します。

3.2 調停前置主義と裁判

調停前置主義のため、調停が不成立となった後でなければ、離婚訴訟を起こすことはできません。そのため、調停が不成立となった場合は、すぐに裁判に移行することが多いです。

弁護士が教える離婚調停~4. 離婚調停を成功させるためのポイント

4.1 冷静な対応

離婚調停は感情が高ぶりやすい場面ですが、冷静な対応が必要です。感情的になると、理性的な判断が難しくなり、調停が不成立になる可能性が高まります。

4.2 事前準備の重要性

離婚調停に臨む前に、自分の要求や譲れない点を明確にしておくことが重要です。これには、財産分与の希望や子供の親権、養育費についての具体的な希望を整理することが含まれます。

4.3 専門家の助言を活用

離婚調停においては、弁護士の助言を受けることが非常に有効です。弁護士は法的な視点からアドバイスを提供し、適切な対応をサポートしてくれます。また、離婚調停に同席してもらうことも可能であり、交渉を有利に進めることができます。

4.4 柔軟な姿勢

離婚調停では、互いの希望が全て通ることは稀です。ある程度の譲歩が必要であり、柔軟な姿勢で臨むことが、調停成功の鍵となります。

弁護士が教える離婚調停~5. 離婚調停後の手続き

5.1 調停成立後の手続き

離婚調停が成立した場合、調停調書に基づき、離婚届を役所に提出します。これにより、正式に離婚が成立します。また、財産分与や養育費の支払いなど、調停で合意した事項については、合意内容に従って対応します。

5.2 調停不成立後の対応

離婚調停が不成立となった場合、裁判に移行するか、再度話し合いの場を設けるかの判断が求められます。裁判に移行する場合は、弁護士と共に準備を進め、証拠の収集や書面の作成を行います。

弁護士が教える離婚調停~6. まとめ

離婚調停は、離婚を巡る問題を解決するための重要な手続きです。裁判に比べて柔軟性が高く、双方が納得できる形での解決を目指すことができます。離婚調停を成功させるためには、冷静な対応、事前準備、専門家の助言が不可欠です。

また、離婚調停が成立しなかった場合には、次のステップとして裁判を考える必要がありますが、裁判に移行する前に、もう一度話し合いの機会を設けることも一考の価値があります。

離婚調停は、夫婦間の問題を解決するための大切なプロセスです。このプロセスを通じて、双方ができるだけ円満に新たなスタートを切ることができるよう、しっかりと準備し、離婚調停に臨むことが重要です。

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